旧約聖書には何が書いてあるんですか？
興味があって一度開いたことがあるんですが、知らない名前や儀式、預言なんかもあって、『何これ？』って思っちゃいました。
内容をわかりやすく教えてください。
いいですよ。
旧約聖書はページ数が多くてもシンプルな内容の本です。
簡単に教えられます。
え？ そうなんですか？ こんなに分厚いのに？
はい。旧約聖書に書いてあるのは、
- 神が世界と人間を創造なさったこと
- 人間が罪へと堕落したこと
- それでも神が人間を愛して救い主を送る約束をなさったということ
だからです。
難しくないですよね？
わたしはクリスチャンの家に生まれ育ち、プロテスタントの牧師になるための神学校を卒業後、約20年間キリスト教会で牧師として働いてきました。
この記事では、
- 旧約聖書のあらすじ
- 旧約聖書と新約聖書の違い
- 旧約聖書の神
について、わかりやすく解説します。
最後までお読みいただくと、旧約聖書のおおまかな内容、新約聖書との違い、旧約聖書の伝える神についてバッチリ分かります。
ぜひ、最後までご覧ください。
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旧約聖書のあらすじ
天地創造、アダムとイブの楽園での生活
旧約聖書は、
「はじめに神が天と地を創造された。」（創世記1:1）
という衝撃的な宣言から始まります。
たぶん、神がこの世界を創造した事実があったなんて、だれも知らなかったですよね？
でも、聖書は創造主である神がこの世界と人間をお造りになったと教えています。
創造主は良い世界をお造りになり、その後でご自分のかたちに似せて良い人間をお造りになりました。
こうして、神に造られたアダムとイブ（日本語聖書ではエバ）はエデンと呼ばれる楽園で幸せに暮らすことになったのです。
罪への堕落
ところが、悪魔（サタン）は神と人間の仲を引き裂くためにエバに近づき、神が禁じていた善悪の知識の木の実を食べるようにエバを誘惑しました。
エバだけではなく、アダムも禁じられた木の実を食べ、こうして人間は神に逆らって罪へと堕落しました。
命の源である神から離れた結果、人間はいつか必ず死ぬようになり、世界も呪われることとなったのです。
アダムとエバはエデンの園から追放されました。
しかし、神はご自分を裏切った人間をそれでも愛し、彼らを罪から救い出す救い主を送ろうとしていらっしゃったのです。
アブラハムの選びと召しー世界を祝福するためにー
神がアダムの子孫である全人類を罪から救う目的のために選んだのがアブラハムです。
アブラハムはユダヤ人の先祖です。
神はアブラハムとその子孫を通して罪に堕落した全人類と呪われた世界を回復しようとなさいました。
神はアブラハムに、
「あなたの子孫によって、地のすべての国々は祝福を受けるようになる。」（創世記22:18）
とおっしゃいました。
神が選んだアブラハムの子孫からやがて救い主イエス・キリストが生まれることとなったのです。
神の民イスラエルの歴史① 出エジプト→約束の地→ダビデ王朝
さて、アブラハムの子孫はエジプトに移住し、そこでイスラエルという一つの国民になりました。
イスラエルの民はエジプトで４００年奴隷にされて苦しみましたが、神は指導者モーセを送って彼らを救い出しました。
これが「出エジプト」と呼ばれる偉大な解放の出来事です。
神の民イスラエルはシナイ山で有名な「十戒」を神から授けられ、正式に神の民となりました。
そして、荒野での40年の後、イスラエルは神が先祖たちに約束していた乳と蜜の流れるカナンの地に入植します。
カナンの地に元々住んでいた民との多くの厳しい戦いを経て、ついにイスラエルはダビデ王とその子ソロモン王の時代に王朝を築くこととなりました。
神の民イスラエルの歴史② 偶像礼拝と王国の滅亡
ところが、ソロモン王の息子レハブアムの時代に、イスラエルの王朝は南北に分裂してしまいます。
北イスラエル王国と南ユダ王国です。
実は、イスラエルは神が救ってくださった恩を忘れ、約束の地に入って以来、たびたびカナンの地の土着の神々を礼拝してきました。
その偶像礼拝の傾向はこの南北王朝時代に顕著で、神はこの緊急事態をどうにかするために「預言者」と呼ばれる人々を送りました。
しかし、腐敗した王たちや祭司たちは自分の過ちを認めず、ただ一人の本当の神のもとに帰ろうとはしませんでした。
その罪の罰として、まず紀元前721年に北イスラエル王国がアッシリア帝国に滅ぼされ、紀元前586年には南ユダ王国がバビロニア帝国によって滅ぼされ、人々は遠いバビロンに捕らわれて行くこととなったのです。
これが「バビロン捕囚」です。
神の民イスラエルの歴史③ バビロン捕囚と帰還の時代―救い主を待ち望んでー
しかし、神はイスラエルをお見捨てになることはなく、予め預言者たちを通して、
- 70年経ったらバビロンから約束の地に帰ることができること
- やがて罪から救う救い主を送ること
という２つの希望の約束をお語りになっていました。
そして、紀元前５３８年、バビロンを陥落させたアケメネス朝ペルシャの王キュロスの勅令により、イスラエルの民はバビロン捕囚から解放され、約束の地に帰ることができるようになったのです。
神様が約束なさっていた通りでした。
バビロンから戻ったイスラエルの民（ユダヤ人）は神殿やエルサレムの都の城壁を再建しました。
ここまでが旧約聖書のあらすじです。
その後のユダヤ人は、ほんの一時期独立した以外は、ペルシャ、ギリシャ、そしてローマといった当時の超大国の支配下に置かれることとなりました。
神の民は、新約聖書の時代にイエス・キリストが登場するまでの約400年間、神が約束なさった救い主をひたすらに待ち望みつつ生きていったのです。
旧約聖書と新約聖書の違い
ここで旧約聖書と新約聖書の違いについてざっくりとお伝えしたいと思います。
旧約聖書と新約聖書の「約」の意味
まず注目していただきたいのは、旧約聖書と新約聖書の「約」です。
「訳」ではありません。つまり、旧約聖書と新約聖書は、聖書の古い訳と新しい訳ということではありません。
旧約聖書と新約聖書の「約」は、神が人と結んだ「契約」から来ています。
つまり、旧約聖書は神が人と結んだ古い契約の書で、新約聖書は新しい契約の書なのです。
「新しい契約の書があれば、古い契約の書は要らないのでは？」と思われるかもしれません。
しかし、新しい契約は古い契約に基づいているので、新しい契約を十分に理解するために古い契約の書が今でも必要です。
そして、新しい契約自体も、古い契約と全くの別物ではなく、その決定的なリニューアル（更新）という意味で新しい契約です。
更新された新しい契約である新約聖書は古い契約である旧約聖書を土台としています。
わたしたちには今も古い契約の書である旧約聖書が必要なのです。
さて、今お伝えしたことを踏まえて、旧約聖書と新約聖書には決定的な違いがあるので、次にそれを解説します！
旧約聖書と新約聖書の決定的な違い
旧約聖書 ー救い主についての約束と預言ー
旧約聖書には、ここまでお伝えしてきたように、天地創造、罪への堕落、神の民イスラエルの歴史が書かれています。
神はイスラエルの歴史を通して、やがて全人類を罪から救う救い主を送ってくださるとたびたびお約束なさいました。
旧約聖書にはまだイエス・キリストは実際に登場しません。
神がイエス・キリストを救い主として送ってくださる約束と預言が書かれているのが旧約聖書です。
新約聖書 ー救い主が来られたことの証言ー
新約聖書は、神が約束を真実に守って、救い主イエス・キリストをこの世に送ってくださったことの証言です。
救い主イエス・キリストはわたしたち人間を罪から救うために十字架で身代わりに死なれ、三日目に復活してくださいました。新約聖書はそのことをわたしたちに伝えています。
聖書が伝えている一番のテーマは救い主イエス・キリストです。
救い主イエス・キリストがまだ来ていないか、もう来たかが、旧約聖書と新約聖書の一番大きな違いです。
旧約聖書の神
旧約聖書の伝える神はどういうお方でしょうか？
創造主
旧約聖書はただ一人のまことの神がこの世界と人間を創造なさったと教えています。
「主よ あなたのみわざはなんと多いことでしょう。あなたは知恵をもってそれらをみな造られました。地は あなたのもので満ちています。」（詩篇104:24）
※聖書の中に出てくる「主」は、ほとんどの場合、神のことです。
そして、旧約聖書は、神がわたしたち一人ひとりの創造主であると告げています。
「あなた（神）こそ わたしの内臓を造り 母の胎の内で私を組み立てられた方です。私は感謝します。あなたはわたしに奇しいことをなさって恐ろしいほどです。私のたましいは、それをよく知っています。」（詩篇139:13-14）
歴史の神
創造主である神はご自分がお造りになった世界を今も治めていらっしゃると旧約聖書は教えています。
「主は、天にご自分の王座を堅く立て その王国は すべてを統べ治める。」（詩篇103:19）
上記の「旧約聖書のあらすじ」でお伝えしたように、神の約束はペルシャ王キュロスの勅令によって実現しました。
旧約聖書は、神がキュロス王の心を動かしてご自分の民を解放なさったと教えています。
「ペルシアの王キュロスの第一年に、エレミヤによって告げられた主のことばが成就するために、主はペルシアの王キュロスの霊を奮い立たせた。」（エズラ記1:1）
契約の神
神は偉大な創造主ですが、自らへりくだってアブラハムとその子孫に関わり、契約を結んでくださいました。
そして、神はイスラエルの神となり、イスラエルは神の民となりました。
神は恵み深いお方です。
そして、神は救い主イエス・キリストによってわたしたちの神にもなってくださり、わたしたちは神の民、神の子どもたちにしていただけます。
「わたしは彼らの神となり、彼らはわたしの民となる。」（エレミヤ書31:33）
救い主
旧約聖書の伝える神は救い主でもあります。
神はご自分の選んだアブラハムの子孫をエジプトの奴隷状態から解放しました。
神はイスラエルの民をたびたび敵の手から救いました。
そして、神に逆らったイスラエルの民がバビロンで捕囚になった時にもお見捨てにならず、彼らを解放して約束の地に戻れるようにしてくださいました。
そして、神はわたしたちを含む人間を罪と死とサタンから救い出すために救い主イエス・キリストを送ってくださると旧約聖書でお約束なさいました。
「彼（イエス・キリスト）は多くの人の罪を負い、背いた者たちのために、とりなしをする。」（イザヤ書53:12）
まとめ
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
この記事では、
- 旧約聖書のあらすじ
- 旧約聖書と新約聖書の違い
- 旧約聖書の神
について簡単に解説してきました。
聖書は「永遠のベストセラー」と呼ばれ、昔も今も世界中の人々に影響を与えています。
その大半を占める旧約聖書の内容を知った感想はいかがですか？旧約聖書の中にこんな言葉があります。
「あなたの若い日に、あなたの創造者を覚えよ。」（伝道者の書12:1）
年齢が若い方も年齢を重ねておられる方も、今日が残りの人生で一番若い日です！
旧約聖書の教える創造主である神様はあなたの創造主でもあり、今も生きていらっしゃいます。
あなたも神様を信じる幸せな人生を歩んでみませんか？
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