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【カンタン解説】イエス・キリストの死因は何だったのか?

聖書

 

女性
女性

イエス・キリストの死因は何だったんですか?

 

キリストさん
キリストさん

分かりました。

 

イエスの死因について分かっていることをお話ししますね。

この記事を書いているわたしは、クリスチャンの家に生まれ育ち、プロテスタントの牧師になるための神学校を卒業後、約20年間キリスト教会で牧師として働いてきました。

このようなわたしが上記の質問にお答えします。

この記事を読んでいただくと、

イエスの死因について分かっていることを知ることができます。

② イエスの死の意味もふくめて、カンタンに解説しますので、ぜひ、最後までご覧ください。

【カンタン解説】イエス・キリストの死因は何だったのか?

ディエゴ・ベラスケス「十字架上のキリスト」

ディエゴ・ベラスケス「十字架上のキリスト」 public domain

イエス・キリストは約2000年前にエルサレムの郊外のゴルゴタの丘でローマ兵たちに十字架に釘づけにされて処刑されました。

十字架は、文字通り、十字にクロスした木に真っ裸で手足を釘付けにされ、人々の目の前にさらされる公開処刑でした。

その残忍さから、十字架刑はローマ帝国では反逆者、死刑囚、逃亡奴隷だけに適用され、ローマ市民権を有する者は免除されていた、最も重い刑罰だったのです。

イエスはローマの法律と旧約聖書の神の律法に照らして無罪でしたが、イエスの人気をねたんだ宗教指導者たちによってローマ総督へ反逆罪で引き渡され、十字架で死ぬこととなりました。

イエスが十字架で死んだ事実自体は、イエスの言葉と行いを報告している新約聖書の福音書に記されていますが、イエスの死因が何だったのかは正確には分からず、特定も困難です。

その理由は、

① イエスの十字架の死を報告している新約聖書の福音書は、イエスが十字架にかけられて死んだ事実とその意味・目的に焦点をあてて記されているからです。

➁ そのため、イエスの死因については関心が払われておらず、死因の特定や正確な記録も福音書にはふくまれていません。

③ イエスを処刑したローマ兵たちはイエスを犯罪者として殺すことを目的としており、イエスの仲間たちはイエスが死んだこと自体を嘆き悲しんだので、誰もイエスの死因自体に関心を持たなかったのも当然でしょう。

④ そもそもイエスが十字架で死んだのは、現代医学が発展するよりずっと前の約2000年前の出来事だったため、現代医学のレベルでイエスの死因を特定し、正確に記録することは当時不可能でした。

⑤ 十字架刑が行われていた当時の人々、特に刑の執行を担当していたローマの兵たちは、受刑者がどのような苦しみ方をして死んでいくかのある程度の知識は持っていたでしょう。ただ、その知識は今のわたしたちには十分には伝わってはいません。そして、同じ刑を受けても、一人一人の受刑者で死因が異なる場合もあったかもしれません。

以上の理由から、イエスの死因について現代のわたしたちが特定したり、正確に知ることは難しいのです。

イエス・キリストの死因の医学的説明の試み

レンブラント「十字架上のキリスト」

レンブラント「十字架上のキリスト」 public domain


医学の見地からイエスの死因の説明が試みられているため、代表的ないくつかをご紹介します。

①心臓破裂 

この説は、精神的なダメージによりイエスの心臓が破裂したと考えます。

反論:イエスのように若く健康な人の心臓が精神的ダメージだけで破裂することはありえないため、現在はほとんど支持者がいません。     

②窒息死

この説は、イエスが十字架上で窒息死したと考えます。

十字架上のイエスは、両腕を広げて吊るされ、呼吸筋と横隔膜に負荷がかかり、息を吐くためには足を踏ん張る必要がありました。

しかし、イエスの足は釘付けで、背中はムチ打ちにより肉がむき出しになっていたのです。

これらの痛みに耐えきれず、呼吸が減少し、やがて極度に消耗し、イエスは窒息死しました。

今回調べた範囲では、最も支持者が多かった説ですが、反論もあります。

イエスは十字架にかけられながら、母マリアと弟子のヨハネ、そしていっしょに十字架にかけられた罪人と会話をしたため、窒息死はありえないという反論です。

③失血死 

この説は、イエスが失血死したと考えます。

イエスは大祭司の家で集団で暴行され、その後、総督ピラトの命により、金属片の付いた鞭で何度も打たれました。

そして、ローマ兵たちにトゲのついたいばらの冠を頭にかぶらせられ、葦の棒で頭をたたかれたため、自力で処刑場まで十字架を運べないほどの外傷性出血性ショック状態になっていました。

その上で十字架に釘づけられた場合、失血死したとしてもおかしくないと考えられています。

イエスの死因についての医学的な説明を3つご紹介しましたが、イエスの死因について医師の間でまだ一致がないのが現状です。

イエスの十字架の死の謎ーイエスはなぜ他の受刑者たちよりも早く死んだのか?ー


イエスの十字架の死についての謎が残っています。

実は、同じ日、同じときにイエスもふくめて3人が十字架にかけられたのですが、イエスだけが早く死にました。

なぜイエスだけが他の受刑者たちよりも早く死んだのでしょうか?

これがイエスの十字架の死に関して、わたしたちの前に残されている疑問です。

イエスが他の受刑者たちよりも早く死んだ要因として、3つのことが考えられます。

①十字架の死にいたるイエスの身体的な数々の苦しみ

イエスは救い主として活動を開始する前は、約30歳まで大工として働いていたため、頑強な身体をしていたと考えられます。

しかし、イエスは前日の夜の不当な逮捕の後、徹夜でユダヤ最高議会(サンヘドリン)による不当な取り調べを受け、集団で暴行されました。

67:それから、彼らはイエスの顔につばきをかけて、こぶしで打ち、またある人は手のひらでたたいて言った、

68:「キリストよ、言いあててみよ、打ったのはだれか」。                                                                                                                                                     マタイによる福音書26:67-68

そして、翌朝の総督ピラトの裁判の後には、もっとひどいことが待っていました。

そこで、ピラトはバラバをゆるしてやり、イエスをむち打ったのち、十字架につけるために引きわたした。
                             マタイによる福音書27:26

イエスの時代の鞭打ちの刑は、1回や2回たたかれて済むものではありませんでした。

それ以上たたくと死んでしまう恐れがあるため、40回以上はたたかないように39回鞭で打たれたのです。

しかも、その先には金属片が付いており、ただ打撲になるだけではなく肉が裂け、血が流れるような過酷な刑でした。

その後、イエスはローマ兵たちからも暴行され、あざけられました。

27:それから総督の兵士たちは、イエスを官邸に連れて行って、全部隊をイエスのまわりに集めた。

28:そしてその上着をぬがせて、赤い外套を着せ、

29:また、いばらで冠を編んでその頭にかぶらせ、右の手には葦の棒を持たせ、それからその前にひざまずき、嘲弄して、「ユダヤ人の王、ばんざい」と言った。

30:また、イエスにつばきをかけ、葦の棒を取りあげてその頭をたたいた。                                                                                                                          マタイによる福音書27:27-30

イエスはトゲのついたいばらの冠をかぶせられ、葦の棒で頭をたたかれました。

イエスの頭からはかなりの血が流れたことでしょう。

続いて、イエスはエルサレム郊外のゴルゴタの丘まで、自分が磔(はりつけ)にされる十字架を背負って歩かされたのです。

そして、手足を十字架に釘付けにされました。

どんなにイエスが若く、たくましい男性だったとしても、このようなボロボロの状態では十字架上で長く生きることができなかったのも無理はなかったでしょう。

②精神的な負担

イエスが十字架で早く死んだ原因の2つ目として考えられるのは、精神的な負担です。

イエスは側近であった12使徒の一人、イスカリオテのユダに裏切られました。

他の11人の使徒たちもイエスが逮捕されるとイエスを見捨てました。

大祭司たちからは不当な取り調べをされて、イエスは訴えられたのです。

続いて、総督ピラトの裁判では、何日か前に自分を熱狂的に都エルサレムに迎えた群衆が自分を「十字架につけろ!」と叫ぶのを耳にしました。

ローマの兵士たちから侮辱を受けました。

そして、イエスは午前9時に十字架につけられましたが、二人の強盗といっしょに、強盗たちの真ん中で十字架にかけられたのです。

イエスには罪がなかったのに、これではまるで強盗の親分のように見えたでしょう。

そして、十字架につけられてからの最初の3時間、イエスは人々、特に宗教指導者たちから徹底的にののしられ、あざけられ、バカにされました。

39:そこを通りかかった者たちは、頭を振りながら、イエスをののしって

40:言った、「神殿を打ちこわして三日のうちに建てる者よ。もし神の子なら、自分を救え。そして十字架からおりてこい」。

41:祭司長たちも同じように、律法学者、長老たちと一緒になって、嘲弄して言った、

42:「他人を救ったが、自分自身を救うことができない。あれがイスラエルの王なのだ。いま十字架からおりてみよ。そうしたら信じよう。

43:彼は神にたよっているが、神のおぼしめしがあれば、今、救ってもらうがよい。自分は神の子だと言っていたのだから」。

44:一緒に十字架につけられた強盗どもまでも、同じようにイエスをののしった。
マタイによる福音書27:39-44

イエスは孤独にこれらのあざけりに耐えたのです。

ここまで述べてきたイエスの精神的な苦しみがイエスを消耗させ、いっしょに十字架にはりつけにされた強盗たちよりも早く死なせたというのは、十分にありえることでしょう。

③魂への霊的負担

上記のように、イエスの受けた身体的・精神的な数々の苦しみがイエスを他の受刑者たちよりも早く死なせた要因となっているのは、確かなことだと思われます。

その一方で、十字架前に鞭打たれたり、あざけられるのは、イエスほどではなくても、他の受刑者たちも経験したことでしょう。

そう考えると、イエスが受けた身体的・精神的苦しみだけでは、なぜイエスが他の受刑者たちよりも早く十字架上で死んだかを説明し尽くしてはいないでしょう。

ここで、他の受刑者は受けておらず、イエスだけが受けた苦しみについてフォ―カスをあてる必要が生じます。

すなわち、救い主としてイエスがその魂に受けた壮絶な苦しみです。

イエスはその苦しみを前もって予想して、激しく苦悩したほどでした。

36:それから、イエスは彼らと一緒に、ゲツセマネという所へ行かれた。そして弟子たちに言われた、「わたしが向こうへ行って祈っている間、ここにすわっていなさい」。

37:そしてペテロとゼベダイの子ふたりとを連れて行かれたが、悲しみを催しまた悩みはじめられた。

38:そのとき、彼らに言われた、「わたしは悲しみのあまり死ぬほどである。ここに待っていて、わたしと一緒に目をさましていなさい」。                                                                                                                                                                      マタイによる福音書26:36-38

44:イエスは苦しみもだえて、ますます切に祈られた。そして、その汗が血のしたたりのように地に落ちた
ルカによる福音書22:44

イエスほどの人物が死を恐れたことに、わたしたちは驚くかもしれません。

かの偉大な哲学者ソクラテスは落ち着いて毒の盃を飲み、死にました。

ソクラテスの姿と比べると、イエスは情けなく見えるかもしれません。

しかしソクラテスとイエスの違いは、二人の死に対する見方にありました。

      

ソクラテスにとって、死とは肉体という牢獄からの魂の解放でした。

死に対して楽観的な見方をしていたと言えるでしょう。

しかしイエスにとって、死は決して美しいものではなく、罪の刑罰だったのです。

死は神に対して犯した罪の刑罰だと聖書は教えています。

二人の持っていた死に対するこのような根本的な見方の違いが、死に直面したときの二人の態度の違いを生んだのです。

イエス自身は罪のない正しい人でしたから、死を恐れる理由は全くありませんでした。

しかし救い主として、イエスはわたしたちの罪の身代わりに十字架の上で罪の刑罰としての死を死ぬ必要があったのです。

イエスはわたしたちの代わりに神から捨てられる苦しみを味わってくださいました。

そうして、わたしたちの罪がゆるされ、死んだ後は天国に行ける道を開いてくださったのです。

46:そして三時ごろに、イエスは大声で叫んで、「エリ、エリ、レマ、サバクタニ」と言われた。それは「わが神、わが神、どうしてわたしをお見捨てになったのですか」という意味である。
マタイによる福音書27:46

イエスが救い主としてわたしたちの身代わりに受けた魂の激しい苦しみこそ、なぜイエスが他の受刑者たちよりも早く十字架で死んだのかの一番納得のいく説明なのです。

イエス・キリストの死の意味・目的


ここでは、イエスの死の意味と目的について解説いたします。

身代わりの贖罪

イエスは自分の十字架の死がわたしたちを罪の刑罰から救う「身代わりの贖罪(しょくざい)」だと信じていました。

28 : それは、人の子がきたのも、仕えられるためではなく、仕えるためであり、また多くの人のあがないとして、自分の命を与えるためであるのと、ちょうど同じである」。
マタイによる福音書20:28

※「人の子」とは、イエスが自分を指していうときに使った言葉です。

聖書は、創造主がわたしたちを造ったと教えています。

しかしわたしたちは、的を外れて飛んでいく矢のように、生まれつき神から離れて生きています。

聖書では、その状態を「罪」と言っているのです。

本来あるべき姿から離れたわたしたちの罪の罰を身代わりに背負うために、イエスは救い主としてこの世に生まれました。

そうして、イエスは十字架の上でわたしたちの代わりに神から捨てられて死ぬ経験をすることによって、わたしたちの罪がゆるされ、天国に行ける道を開いてくださったのです。

まとめ


最後までお読みいただき、ありがとうございました。いかがでしたか。

この記事では、

・イエス・キリストの死因は何だったのか
・イエスの死因についての医学的な説明の試み
・なぜイエスは他の受刑者たちよりも早く死んだのか
・イエス・キリストの死の意味・目的

について解説してきました。

この記事をお読みいただいて、イエス・キリストの死因について現在分かっていることを理解していただけたことでしょう。

イエスの死因については正確なところは分からず、医師たちの間にも一致はありません。

イエスの十字架の死を報告している福音書自体が、イエスの死因よりもイエスの死の事実とその意味・目的に焦点をあてているからです。

神の子、救い主イエスはわたしたちを愛して、わたしたちの罪の身代わりに十字架で罪の罰としての死を死にました

そのおかげで、イエスを信じる者は罪がゆるされ、死はもはや罪の刑罰ではなく、天国と永遠の命へ続くドアとなるのです。

ぜひ、イエスについて調べることを続けてください。

あなたがイエスを救い主と信じることができるように願っています。

このブログにはイエスについての記事が他にもあるので、どうぞ読んでみてください。↓↓



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キリストさん

                                   ● クリスチャンの家に生まれ育ち、プロテスタントの牧師になるための神学校卒業後、約20年間牧師として教会で働く。
                                   
● 2024年、キリスト教の素晴らしさを伝えるためにこのブログを開始。

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